転職理由は人それぞれ

「転職…?」

「はい、私もこの館に勤めて5年。このまま一生、この身を捧げる覚悟がありました…。でも、もう限界です!辞めます!!」

「理由を聞いても良いかしら?」

「理由なんて…決まっているじゃないですか!新しいご主人様ですよ!!先代のご主人様が引退され、代替わりをしてからというもの…この館のメイドに対する風紀は乱れております!メイド長もお気付きでしょう!?」

「気付く…というと?どんな事かしら?」

「ですから!新しいご主人様は勝手過ぎます!まずはこのメイド服!!いきなりデザインが変わったと思ったらこんなにスカートが短くなって!それに贅沢なフリルなんて…動き辛くて仕事の邪魔です!シンプルで控えめだった前のメイド服に戻していただきたいです!」

「そうかしら?可愛らしいデザインで館の皆も喜んでいるというのに。」

「喜んでいるんですか!?執事たちからも変な目で見られてる気がして仕事に集中できません!」

「そう…。あなたが退職する理由は、それだけ?」

「いいえ、この際ですから暴露させていただきます…。このメイド服に変わったのが原因か分かりかねますが、今の館では男女の不純な交際が日常化しております…。洗濯担当のメイドや厨房担当のあの子、それに!私と相部屋の子だって…。仕事中にこっそりと…、いいえ、時には私に見せつけるように淫らな行為をしているんですよ!?こんな職場、ぜったい変です!もう転職します!」

「そうね、あなたの気持ちはわかりました。」

「はい。それでは、こちらの退職願を受け取っていただけますか?」

「たしかに、誰にだって嫉妬はあるわよね。」

「…は?」

「こんな可愛いメイド服を着ているのに、館の誰からも相手にされないなんて、寂しいわよね。大丈夫、あなたは気が強いけど、顔はちゃんとメイクするとして、スタイルもそこまで悪くはないし。」

「あの、メイド長、何をおっしゃっているんですか…?」

「気の強い女の子を服従させた時の達成感は無類の喜び…。うふふ…ご主人様に相談してみるわね。きっと、あなたにも愛を注いでくれるはず。」

「えーっと、あのー、退職は…?」

「そうね、最初は緊張するだろうから、私も一緒に参加するわ。何事も初めが大事ですもの。ご主人様と私とあなたで楽しみましょう!!」

「だから、こういうのが嫌だって言ってるのに…。はぁ…。」

終わり。

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