夜想曲

ピアノの音が聞こえる
穏やかで少し寂しげなメロディ
ショパンのノクターンだ

彼の奏でる旋律が空間を満たしていく
演奏している彼はつい先ほどまで
私をベッドに拘束して、
さらに目隠しまでして、
私の反応に興味津々だったのに、
今の彼の頭の中は、
目の前にあるピアノの事しかないのだ。

ノクターンの演奏は続く。
さざ波のように繰り返される音の強弱。
クレッシェンド、デクレッシェンド。
そこに加えられるテンポの揺らぎ。

音楽が躍動する。

彼にとって、私はどんな存在なのか。
欲望の吐き出し口。
もちろん、それでも良いのだ。
ただ、その欲望が無くなったとき、私は捨てられてしまうのではないかと不安になる。

音楽が躍動する。

彼の音楽力は、私にとって暴力だ。
圧倒的な力の差、私はそれに恐怖する。

気まぐれな好奇心。
音楽の神様の息吹をかけられたあなた。
苦しいくらい、あなたに魅了された私。

美しいメロディに満たされた空間で、
私はつかみどころのない空虚を抱きしめた。

音楽は、躍動し続ける。

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