rain…

写メ日記で2016年5月16日に公開したものです。


 

 

あれは長雨の季節の事だった。

昼間だというのに外はどんよりと暗く、

雨がしとしとと降り続く中を、私は傘を差して駅までの道を歩いていた。

 

大した距離を歩くわけではないからと高をくくっていたが、

靴下にじんわりと水が滲んできた感覚がある。

足元に目をやると、履きなれたスニーカーが雨でしっとりとしていた。

やはり防水スプレーが必要だったか

 

顔を上げると、女の姿があった。

 

30mほど前方から、こちらに向かって歩いてくる。

しっかりとした足取りで、

雨に濡れながら

 

女は傘を持っていなかった。

 

当然、ショートカットの黒髪も、

白いひざ丈のワンピースも、華奢なサンダルを履いた足も、全身ずぶ濡れだ。

特に、べったりと身体に張り付いた白いワンピースは、女の細いラインを強調させていた。

 

女との距離が近づいてくる。

 

私はここで新たな事実を発見し、

この非現実的な光景を受け入れるのに脳内が混乱しているのを感じた。

 

女は、双方の乳房の存在を、その白い服の布から浮かび上がらせていたのだ。

 

下着を、付けていない

 

すれ違った瞬間、心地良い花の香りがした。

 

その香りが、私を後押ししたのか、

私は振り返って彼女に声をかけていた。

 

「傘、良かったら、これ使って下さい_。」

 

降り止まぬ雨の音が、少し遠くに聞こえた。

 

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